空の絵を描く、その心理

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空の絵は心理を表現するツール

心理をアウトプットする空の絵

具象のようで抽象的な存在である空は、内面世界を表現するのに最適なツールといえるだろう。

色合いや画面の滑らかさ、画材によっても表情は全く変わってくる。

純粋に空の絵だけを描く場合、特に心理面が画面に表れやすい。

青空にモクモクと湧く入道雲にある夏の日の思い出を重ねるのか、

沈みゆく夕焼け空に去り行く日々を憂うのか、

暗がりから日が差す美しい朝焼け空に明日への希望を抱くのか。

空の絵で表現される心理は、嘘偽りのない、感じたままの自身の感情ではないだろうかと思う。

それはすなわち、空の絵によって心理が丸裸になるという事だ。

私の空の絵には、その時その時の私の嘘偽りのない心理がすべて映し出されている。

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永遠ではないから美しい。当たり前にある風景も少しずつ変わっていく。

美しいと思うから描く、空の絵を描く心理とは。

そもそも空の絵を描く前に、空自体の美しさに心奪われる方は多いのではないだろうか。

雲ひとつない青空もあれば、柔らかな日差しの差す穏やかな空もあるが、私が一番心奪われるのは、モクモクと雲の湧いた劇的な空だ。

少し日の傾いた時間帯のそんな空が、私のインスピレーションを一番駆り立てる。

朝焼けの空などは、心の奥に押し込めていた心情を引きづり出してくれる。

描きたい心理は、あまり明るい心理とは言えないところもある。

明るく楽しい気持ちは、描くまでもなく体現しやすいものだ。

一方ネガティブな感情から起こる心理は、人に見せられない分、芸術面での表現テーマになりやすい。

美しいもので見せられない感情を表現することで、心の浄化を図っているのかもしれない。

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空の絵は心を癒す、心理のその先。

空の絵を求める心理

 

空を見上げて悲しい気持ちや暗い気持ちになる人は少ないだろう。

空の絵を見る心理も同じように、心が透き通るような、見ていると吸い込まれるような、自分の内側とゆっくり向き合うことができる良さがあると思う。

ありふれた風景も空の表情で見え方が変わるように、どんな気持ちでいても、美しい空の絵を眺めるだけで心理状態は落ち着いたものに変わるのではないだろうか。

個人的な考えだが、空の絵にはそういっや鎮静効果があるように思う。

窓のない部屋でも、空の絵があるだけで空気が澄んで感じる事もあるそうだ。

描く側にも観る側にも癒しを与える、空の絵を求める心理はそこにあるように思えてならない。

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癒しを齎す空の絵、描く側と観る側の心理。

空の絵は描く行為だけでも、心の奥に澄んだ空気を送り込んでくれるように思う。

「ああ、この空をいつまでも眺めていたい」そういう心理を自分なりに表現している。

それは内観の為だけではなく、アウトプットすることで観る側の人にも癒しを感じてほしいからだ。

描くだけではなく、様々な方の空の絵も鑑賞して思うのは、どんな気持ちで描いていも、必ず絵の中に希望を感じられる事だ。

暗くどんよりした空の絵でも、必ずどこかに光がある。

星や太陽、月が輝き、暗いだけではない、光がちゃんとある事を示しているのだ。

 

私の空の絵も、皆様にとってそんな存在でありたい。

   
    大森 かずえ

    1982年、岡山県生まれ。東京学芸大学、卒業。
    画号「大森かずえ」美術家として活動。
    幼少期から、水墨画を描く母の影響を受け、毎日絵を描いて過ごす。
    大学時代は自ら企画運営をし、積極的に個展やグループ展をこなすが、
    24歳の頃、病気治療で記憶を消されて2週間意識不明に陥る。
    また、後遺症で全身に麻痺が残り、一時は絵が全く描けなくなるが、
    とにかく描きたい一心でリハビリを経て、1枚の油絵を制作。
    その絵が第34回近美春季展にて大賞を受賞する。
    画家としては、近代日本美術協会での大賞受賞をはじめ、他受賞歴が多数。
    空をメインとした風景画・肖像画には定評があり、多くのオーダーワークをこなす。
    絵画を生かすためのデザインやディレクションも手がけるマルチプレイヤー。
    その他、書籍の装丁デザインや挿絵イラストも手がける。
    ※病気はすでに完治しています。

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