空の絵を描くための絵の具の選び方。
アクリル絵の具で描く空の絵
数ある絵の具の中でも、最も写実的な表現が手軽にできる画材が、アクリル絵の具なのではないかと思う。
油絵の具ほどの重厚感は出ないものの、しっかり色を重ねることもできて、美しいグラデーションが表現できる優秀な画材だ。
水彩絵の具の為、乾くのが早いのが長所でもあり短所でもある。
空の絵を描く場合、グラデーションの途中で絵の具が乾き始めると、色にムラができてしまったりすることもある。
私はこの場合、乾燥を遅らせるメディウムという樹脂用材を使用する。
そうすることで絵の具のとろみが変わり、より自然なグラデーション表現を可能にするので、空の絵を描く際には欠かせないと思っている。
透明水彩絵の具で描く空の絵
透明水彩絵の具は、写生をする時など、重ね塗りをすることなくサラッと表現できるので、あまり時間をかけず、感性で空の絵を仕上げることができる。
油彩畑で鍛錬してきた私にとっては、サラッと描くというのはなかなか難易度の高い技だが、偶然できる美しさが創れるのは透明水彩絵の具の長所だと思う。
この作品は空を描いていないが、空があるように感じる。
印象的な色や絵の具のにじみ、風景の霞んだ雰囲気で夕暮れを感じることのできる、「空のない空の絵」だ。
絵の具の使い方で変わる、空の絵
空の絵を絵の具で表現するために
絵の具で空の絵を描く際に、筆の種類や使い方でも違いは大きく出る。
例えば下記のような空の絵の雲は、細い面相筆で薄い色から厚めの白色までを何重にも描き重ねて表現している。
空の絵のベースとなるグラデーションは、大きめの平筆で4色に分けた絵の具を塗り合わせていく。
色同士を馴染ませるように平筆で撫でるように2~3層塗り重ねれば、美しい空の絵が仕上がる。
絵の具だけではない、空の絵の表現方法
絵の具だけではなく、空の絵は線画で描くこともある。
この絵はどちらかというと心象風景なので、ファンタジー要素が強いが、銅版画やボールペン画など、絵の具ではない画材で描いた空の絵も、なかなか趣があると思う。
リアリティの追求だけが空の絵の良さではない。
絵の具で描いた色彩豊かな空の絵も然り、線で描いたモノクロの空の絵も然り、すべては心象を映し出す鏡のようなものだ。
空の絵を見て何かを感じ、何らかの思いを受け取ってもらえれば、それが一番の喜びである。