空の絵を描く画家。

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2012二人展にて発表した作品。

代名詞となった空の絵、画家としての思い。

空の絵を描き始めたキッカケ

空の絵をたくさん描くようになったのは、双極性障害を発症して間もない頃からだ。

そのころ描いた空の絵には、画家としての私の心象が如実に表れており、『とにかく明るい方へ行きたい。』という思いが痛々しいくらいに表現されていた。

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代表作『朝焼けの向こう側』

空の絵は、私の中で希望に満ちた向かうべき目標を表したようなもので、今いる場所よりも良いところへ向かうという意思表示なのだ。

病気発症の頃は、とにかく今の状況から打破したいという気持ちが強く、こんな自分も受け入れて生きていくという思いにはなり切れなかった。

当時、今よりもっと素敵な未来に行く事を夢見た画家の、理想への具象化が空の絵だったのだ。

 

空の絵を描く画家としてのインスピレーション

私は風景画の中でも、自然物を描くことに元々あまり興味が持てなかった。

画家の私にとって自然は、見たままが一番心癒されるもので、見たものをそのまま綺麗に描くことに何処か虚しさを感じてしまい、心象風景に落とし込む対象にはできなかったのだ。

ところが空というのは、自然物のそれよりもはるか速いスピードでどんどん形を変えていき、同じ空を二度と見ることはできない。

具象であり抽象的な存在の空は、画家としての私のインスピレーションを掻き立て、そこに自分の心象を重ねることで自己表現の方法として成立したのが、これまで描いてきた私の空の絵だ。

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時には空だけを描くこともある。

転機の時期などは必ず、空の絵が描きたくなる。

それはもはや、見たことのある空の絵を描くという作業ではなく、青の深さやグラデーション、雲の動きもすべて、空ではなく画家である私の心の一部なのだ。

アカデミックな表現方法だが、そこにあるものに心情を重ねて描くのは、画家として生きてきた私の唯一の自己主張の方法と言える。

空の絵を描くという行為は、自分の事を他人に伝えることを不得意とする私という画家にとって、大事なコミュニケーションツールだ。

 

画家として進化するために、空の絵をめぐる思い

空の絵には様々な表情がある

一言に空の絵と言っても、純粋に青い空なのか夕暮れなのか朝焼けなのか、はたまた曇り空なのか夜なのかで、表情は大きく変わる。

雲一つない突き抜けるような青い空は、見ているだけで前向きで嬉しい気持ちになれるかもしれない。

日が傾いた時間帯の空は、その日その日でグラデーションの具合も違えば、温かな思いになったり哀しい気持ちになったりもする。

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たどり着くのが何処なのかは、まだわからないけど、きっと欲しい未来がある

雲の表情、太陽の位置が変わるだけで、非常に劇的な空の絵にもなるし、心穏やかに眺める癒しにもなる。

ただ空の絵を描くだけではなく、そんな心を揺さぶる作品を画家としては今後も生み出していく所存だ。

 

空の絵を見て空を見上げてほしいと願う画家

日常生活の中で、「気づけば空を見上げるなんて暫くしていない」という方のお話を聞くことが時々ある。

忙しい毎日で、目の前のことに一生懸命になると、空を見上げる行為すら忘れてしまうのは誰にでもあることだと思う。

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日常のありふれた空さえも心を癒す。

下を向いてやるべき事に没頭し続けていると、段々鬱々としてくるが、首を伸ばして上を向くと、自然と心が前向きになるな、と個人的には感じている。

空を見上げるという行為は、心の健康にも繋がるとても簡単な方法だと思う。

あなたの好きな空の絵を見て、そのことを思い出してほしい。

心を映す空の絵を描く、私という画家が願うのは、空の絵を見る人々の心からの幸福だけである。

   
    大森 かずえ

    1982年、岡山県生まれ。東京学芸大学、卒業。
    画号「大森かずえ」美術家として活動。
    幼少期から、水墨画を描く母の影響を受け、毎日絵を描いて過ごす。
    大学時代は自ら企画運営をし、積極的に個展やグループ展をこなすが、
    24歳の頃、病気治療で記憶を消されて2週間意識不明に陥る。
    また、後遺症で全身に麻痺が残り、一時は絵が全く描けなくなるが、
    とにかく描きたい一心でリハビリを経て、1枚の油絵を制作。
    その絵が第34回近美春季展にて大賞を受賞する。
    画家としては、近代日本美術協会での大賞受賞をはじめ、他受賞歴が多数。
    空をメインとした風景画・肖像画には定評があり、多くのオーダーワークをこなす。
    絵画を生かすためのデザインやディレクションも手がけるマルチプレイヤー。
    その他、書籍の装丁デザインや挿絵イラストも手がける。
    ※病気はすでに完治しています。

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