空の絵における雲の存在
印象を決めるのは雲の存在感
写実的に空の絵、特に雲を描くには、実はかなりのテクニックを要する。
どこに太陽が位置するのかで、光の強さや差す方向、コントラスト諸々が変わるので、まずはしっかりとした構図作りが大切だ。
私が描く空の絵は、主に逆光に位置する構図を採用している。
雲の隙間から空が光り輝き、風景は黒く影となる、空が主役の劇的な空の絵が仕上がるので、気に入っている。
逆光となる時、雲のコントラストの描き方も重要だ。
手前側の雲は影がより暗く、青の要素が強いが、遠く離れた雲は、光の影響が強いので、影も光に溶け込むように明るい。
雲の描き方で変わる空の絵
空の絵は、雲の描き方で印象がほぼ決まると言ってよいと思う。
コントラストの強い劇的な絵なのか、明るく穏やかな絵なのか、雲の描き方で表情は一変する。
わた雲や入道雲ならば、絵具を厚く盛るようにして雲の立体感を表現し、おぼろ雲やうろこ雲ならば、空の色に馴染ませるように筆で程よくぼかしを入れるなど、筆のタッチや混色の色数、絵具の盛り具合で様々な雲の表情を捉える。
ベースとなる空のグラデーションでも、混色する色の範囲や数は異なるが、空の絵を描く上で重要なのは、色を馴染ませるテクニックと、筆跡がわかってもいいので、大胆に雲を描いていく潔さだ。
雲があるから空の絵が輝く
私の空の絵は雲が創る
空の絵の中でも、特に心理描写されるのが雲の表現だと思う。
時に穏やかに、時に荒らしく、美しくも恐ろしく思える事すらあるのは、ひとえに雲の描き方によるものだろう。
上記の作品は、特に心の中の昂ぶりを表現していて、青空にもかかわらず、雲の色彩の数やコントラストの幅が相当広い。
対照的に、ほぼ色彩のみで雲の表現をしたこちらの作品は、故郷の風景に思いを寄せる空の絵である。
雲一つない空の絵も悪くない
ここまで空の絵における雲の存在感について書いてきたが、私は雲を描かない空の絵もいくつか制作している。
代表的な作品のひとつだが、雲一つない快晴の冬、光の温かさが心を穏やかにしてくれる、そんな空の絵である。
この空の絵のメインは枯れ木のように見えると思うが、実は背景の冬晴れの空こそ本当の主役なのだ。
敢えて雲の描写を入れない事によって、まっずぐな温もりを表現している。
「空の絵において、雲の描写は必ずなくてはならないもの」という決まり事はない、というお話である。
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